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北四番丁通信

 

「北四番丁通信」とは、仙台教会で日曜日ごとに発行している「週報」の巻頭言です。牧師および複数の教会員が執筆を担当しています。

当教会は1955年に仙台市の北四番丁沿い・旧奥州街道近くに設立されましたが、「北四番丁」という地名は、400年以上も前に城下町が造られた当初からの由緒ある地名で、江戸時代は武家屋敷が連なっていた地域でした。

歴史の流れと共に町並みも住む人々もどんどん変わっていきますが、いつの世においても変わることのない真理の言葉を、仙台教会に許されている時間の中で、たゆむことなく宣べ伝えていきたいと私たちは願っています。

違和感を放すことなく抱きしめながら

2026年7月12日 立石甲(教会員)

 『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』という題名のノンフィクションの本があります。数年前に一度読んだのですが、ちょっとしたきっかけがあって、最近もう一度読んだので、これを紹介します。
 北海道の函館で、出生前診断のために胎児の染色体異常を調べる羊水検査を受けた母親が、実際にはダウン症との結果が出ていたのに、それを見落とした医師から「異常なし」と伝えられました。生まれてきた子は、ダウン症に起因する肺化膿症や敗血症のために、3か月後に亡くなりました。両親は、医師と医院を相手に、両親に対する慰謝料と子に対する慰謝料それぞれを求めて、裁判を起こしました。訴えの内容は、医師が検査結果を正しく伝えていれば、中絶していた蓋然性が高く、子はこの世に生まれず、死の苦痛を味わうことがなかった、生まれたこと自体が損害だというもので、日本で初めての「ロングフルライフ(Wrongful life)訴訟」に当たるものでした。
 著者が取材することになった事実の経過だけを書くと、このようになってしまいますが、内容は、両親や家族や関係者のほかに、ダウン症の子と共に生きている家族、子が無脳症であるとわかりながらあえて出産した女性、赤ちゃんの生存の決定を家族の選択に委ねることになっている医療現場で疲弊する助産師など、それぞれの立場に立たされた人の声に耳を傾けているものです。
 あとがきでは、著者自身も最初は、裁判を批判する人たちと同じように感じたし、違和感を持つ人たちの気持ちも分かるとしつつも、次のように書いていました。読後の私もそのように思いながら、今日の北四番丁通信を書きました。
 心の中に澱のように沈む割り切れない違和感こそが問題の複雑さであり、核のような気がしてならない。その違和感を放すことなく抱きしめながら、母親の話に耳を傾けてほしい。

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